「決戦前夜―Road to FRANCE」 著者 金子 達仁


決戦前夜―Road to FRANCE (新潮文庫)


1997年に行われた、1998年サッカーフランスワールドカップのアジア予選について、サッカージャーナリストとしての意見と選手と監督、現場の表からは見えない舞台裏を取材して描いたノンフィクション作品。サッカージャーナリストである金子氏の視点と、川口と中田を取材することで選手の視点も取り入れた内容としている。


2006年ワールドカップが終わって、何をいまさらって言う時期ではあるのだが、あのサッカー史に残る壮絶な予選を描いた本を読むと未だにあの頃のことが思い出されて鳥肌が立ってくる。ちょうど高校2年生の時だったが、初戦のウズベキスタン戦で大興奮をし、韓国戦で落胆し、中央アジアではショックを受け、日本でのUAE戦では絶望とあきらめの中で涙した想い出がよみがえってくる。今でも、本当に良くワールドカップに行けたな〜って心底感動した。


思えばドイツ大会のアジア予選は見ている方は楽だった。選手達現場はプレッシャーなどで苦しかったとは思うけど、フランスの時ほどではないはず。選手と監督、サッカー協会の間が上手くいっていなかったことなどが克明にかかれていたが、そういう大変な状況で一番大切な予選を迎えてしまっていたのか、と思うとサッカー協会に軽い怒りを覚えた。


本書に描かれていた加茂監督の練習風景
・守備でボールを奪いに行くところまでは「プレス!」を連発していただけ。基本的に具体的な指示はなし
・ボールを奪ってからの形は一切なし。その練習もしていない。
・得点力不足解消のためにやったのは代表選手によるシュート練習

・・・なんかつい最近聞いたような、見たような風景が。特に最後のシュート練習なんて・・・。
金子氏は得点力不足解消のためにシュート練習をした代表監督なんて初めて見た!って驚いていたし、そういった工夫のない練習がチームを成長させていたとは思えない、というニュアンスで描かれていた。97年の予選で失敗して痛い目見たかと思ったけど、また同じような風景がドイツ大会でも繰り広げられた。フランスの時は無事進出出来たから課題がうやむやになっちゃったけど、ドイツ大会は惨敗したからこそ指導方法のなさが表に出てきてしまったと思う。


日本サッカー協会に反省能力や成長要素はあるんだろうか!?若手が育っていない、ワールドユースで勝てない、U17では出場権を逃すことが続いている、と決して先が明るい日本ではない。北京五輪南アフリカワールドカップ予選は本当に厳しいんじゃないか、と予想される。ドイツで惨敗したからこそ、若手が育っていないからこそ、きっちり日本サッカー全体を見直して、育成制度やJリーグなどをより良い形にしてもらいたいもの。

我々も代表の成績に一喜一憂するのではなく、中長期的なビジョンがあればしっかり支えていく心構えが必要になってくると思う。


それにしても思い返すにつれフランス予選は熱かった。本当にハラハラしたし、感情もめちゃめちゃ起伏が激しくて、もっと楽に進出できてれば良かったとも思うが、あれこそワールドカップ予選、だとも思う。次回は、、、どうなるかな!?


評価7.5(サッカー風で言う10点満点 平均点6点)

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