「天使と悪魔 」 著者 ダン・ブラウン


天使と悪魔 (上) (角川文庫)


ダ・ヴィンチ・コードの作者が、それより前に書いた本。やはり芸術とキリスト教を絡ませた、現実世界を舞台としたサスペンス。ヴァチカンに対して科学者が集った秘密結社がテロリストを仕掛ける、それをヴァチカンとアメリカの象徴学の権威ロバート・ラングドンが謎を解明していく、という内容。


謎の張り方、伏線の作り方などはさすがにダ・ヴィンチ・コードと似ているな、という感想。暗殺者がひとりずつ暗殺していき、それも電話のみの謎の人物から指示される、というところ、さらにその謎の人物がかなり意外な人物である、というところもそっくり。ただ今回も黒幕は最後までわからんかった。意外な展開で「おっ〜!」って思った。


今回はローマを舞台として教会や彫刻を中心に芸術作品を見せていくのだが、ダ・ヴィンチ・コードの時のような超有名な作品でないため、いまいち感覚がわからなかったのがある。まあ巻頭に写真を載せているので、それを見ることである程度わかるが。

芸術作品であったり、キリスト教・ヴァチカンの文化がわかるので、なかなか興味深い。あと、宗教と科学の対立、という面もしっかりだしている。


この作品では科学の脅威、というものをしっかり描いている。核を上回る、素晴らしいエネルギーの元として開発された物質も扱いを間違えれば超絶な威力を持つ兵器もなりえる。世界を便利にしたのは間違いなく科学の力であるが、同時に世界に様々な脅威をもたらすようになったのも科学の力。科学の力をきちんと扱えるような心の力、道徳などが必要になってくる。
でもそれが果たして宗教なのか・・・。

作品でも信者のお祈りとか、神様が・・・みたいなコメントがたくさん出てきたが、どうにも胡散臭い、というかあまり好きではない。個人的に無神教だからなのだろうが、宗教などを信じる人は視野が狭い傾向にあるように感じる。もう少し広い視野と他人を受け入れる寛容さが必要なのでは。よく他を許す、とか罪を許し平和を、とか言っているけど、でも世の中の紛争で宗教の違いが占める割合は大きい。そこらへんに矛盾を感じる。


と言ったように宗教と科学について考えさせられる作品ではある。

純粋にサスペンスとしても面白かった。

評価 7.0(サッカー風で言う10点満点 平均点6点)

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