「クライマーズ・ハイ」 著者 横山 秀夫


クライマーズ・ハイ (文春文庫)


1985年の御巣鷹山日航機墜落事件、群馬県を拠点とする北関新聞の一記者が取材の全権デスクとなって、取材を行っていく。その記者の公私共に起こる精神的な葛藤、新聞を製作するための社内の戦い、遺族の思いや読み手の思い、などなどの葛藤を描いた本。


横山氏は元上毛新聞社記者であるため、ご自身が体験してきたであろう内容であるが故に迫力はある。しかしこの小説はちょっと難易度が高くて、個人的にはあんまりヒットしなかった。

主人公の性格が難しすぎて、どうにも理解が出来なかった。家族のことに対しては何をしても(慰められたり褒められたりしても)疎外感を感じイライラしてしょうがない、みたいな感じであったり、新聞記事を選択する際の社内の戦いでも何か一貫性を書いているようで、何でそういう選択をしたのか、などがいまいち腑に落ちなかった。
故に全体的に主人公があまり好きになれなく、そもそも何を表現し、クライマックスに持ってきたかったのか、っていうのがわからなかった。個人的には難易度が高かった・・・。


御巣鷹山の事故に関して、これを題材にした小説は山崎豊子氏の「沈まぬ太陽」とこれを読んだのだが、どちらも御巣鷹山事故をきっちりと、スゴイ迫力で書いている。まだ5歳の時に起きた事故であるから当然覚えていないのだが、それでも悲劇や悲しさ、壮絶さがスゴイ伝わってくる。こういう作品が出てくることであの事故が風化しないで済んでいるのだろう。

ただ小説の題材とされた遺族の方はどのような気持ちで読んでいるのだろうか・・・・?


評価5.5 (サッカー風で言う10点満点 平均点6点)