「ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する」 著者 スティーヴン・レヴィット


ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する


アメリカの若手経済学者が、いくつかのトピックをテータ分析を元に解説している。それによって世の中の常識、と考えられていることを覆したり、社会の裏側の情報を見ることが出来るなど、面白く経済を見ていった本。


中身は結構過激な内容も含まれている。道徳的に考えてどうなんだろう?って思うところもあるが(90年代のアメリカの犯罪件数の激減の要因など。)、データが真実を語っているために否定出来る物ではない。それに常識とは違った視点で物事を見ていく、という面白さがあった。


学校の子供の成績の話であったり、相撲の八百長の話であったり、なるほど、とかやっぱり、とか思ってしまった。相撲の話なんてかなりブラックな内容(7勝7敗の力士が8勝6敗の力士と当たるときの勝率は過去と未来の勝率とは全然変わってしまう、など。)で、これを本にしてしまうのはすごいな、と思ったよ。麻薬の密売であったり、マフィアをも取材しているわけだから、その胆力は恐るべしものがある。

普通に評論の形にすると批判がいっぱい来そうな内容ではあるし、人を小ばかにしたように感じられる表現もあるが、それも綿密な取材ときっちりとデータ化して数値として見せているから出来ること。もちろん数値が全て正しいとは思わないし、調査対象によって恣意的な結果も導き出せることも出来るのだが、少なくとも情報ソースなどはわかるわけだし、定性的なものよりも数段説得力が増すのがわかる。


しかも常識にとらわれない斬新な発想(普通そんな見方しないだろう、というのばかり。)で物事を見ていくことで新しい発見が出来るし、それによって新たなチャンスが生まれるかもしれない。


良く仕事でも結果やプロセスを極力数値化しなさい、と言われている。数値化できないものも、その比率を表すことによって数値化できていることになる、とも。
仕事ではイベントや広告宣伝を担当しているのだが、やはりお金を使っている以上どれだけ効果があるのか、ということがシビアに聞かれる。紙媒体の広告などは直接数値化できるものではないため難しいが、そうも言っていられない。


この本1冊を書くのは相当な取材量だと思う。なかなかこんなレベルの高い調査などは出来ないけど、いろんな角度からの調査っていうのは案外いろんな発見があって面白いかもしれない。そんなことを気付かせてくれる本だった。

評価 6.5(サッカー風で言う10点満点 平均点6点)