「戦場のピアニスト」 監督 ロマン・ポランスキー


戦場のピアニスト [DVD]


第二次世界大戦時代のポーランドに1人のピアニストがいた。ユダヤ人であった彼が戦争時代にどのように生き抜いてきたか、戦争とはどういうものであったのか、ユダヤ人がどういう運命にあったのか、ということを描いた作品。


Amazonのレビューはめちゃめちゃ高いですね。カスタマーレビューの件数も130件越えなのに平均点は高い。

ストーリーとして、特に波乱や心踊るシーン、感動するシーンというものはなく、エンターテイメントとしてはそれほど面白くないのだが、ピアノがめちゃめちゃカッコよかったのと、戦争の残酷さをしっかり描いている点で素晴らしい内容。


戦争というものは残酷だ。今まで長年築きあげてきたものを一瞬で破壊してしまう。創造するのはものすごく難しく時間もかかるが、破壊は簡単に出来る。戦争を仕掛ける人・戦争に賛意を唱える人はその辺りの想像力はないのであろうか!?


今回の主人公は最後以外はカッコよくない。誰かを救うでもなく、タイトルで想像される戦場におけるピアノ弾きの強さ、みたいなのもなかった。ただ生きていくために極限の世界を歩いていく、その姿が逆にスーパーヒーローではなく一般人が感じる戦争の悲劇をよりリアルに描けていたのかもしれない。


でも本当にナチスユダヤ人に対してあんなひどいことをしたのだろうか!?どうやったらあんなに非情になれるのだろう。いかに周りの空気というか雰囲気が人間を狂わすのか、とつくづく感じてしまう。


あれほど極限の状況はなかなかないだろうが、厳しい世界で生き残っていくためには特技や強みがないと難しい、と感じた。作品中でも働けないものは容赦なく殺された。働けるものは労働力として生きていくチャンスがあった。そして主人公は類まれなピアノの腕があったからこそドイツ軍の将校(この人はそんなに狂気に犯されていなかった。ドイツ軍の先が見えていたからだと思うが。)に救われた。特技、、、大事だな・・・。


戦場のピアニスト、というタイトルに刺激されてピアノを楽しみにするとちょっと肩透かしを喰らうかもしれないが、ドイツ軍の将校の前で演奏したときやエンディングは素晴らしかった。戦争の悲劇さに芸術の素晴らしさを描いた良い作品であったと思う。
感動するとか、心躍る、というシーンはなかったので、再び見たいか、というとそこまでではないのだが・・・。

評価 6.5(サッカー風で言う10点満点 平均点6点)