「1分で話をまとめる技術」 著者 樋口 裕一


「頭がいい人」が武器にする 1分で話をまとめる技術


会話力・コミュニケーション力を「話の長さ」というテーマで論じた本。話を短くまとめる技術を持っている人が「出来る人」に見られて仕事などもスムーズに行いやすい、というのを様々な方法で述べた本。


Amazonのレビューでは厳しい評価が書かれていたが、個人的には良いことが書いてあったように思う。これを読めば話を1分でまとめられる、というようなノウハウを期待すると期待はずれに終わるのかもしれないけど。


話が長い(しかも無駄に)人より、完結に短く言える人のほうがすっきり聞こえる、というのは感じる。まだまだ自分には苦手なことだが。どうしてもあれもこれも言いたいことが出てきて話が長くなってしまう傾向にある。特にスピーチだったりプレゼンで会ったりするときが多い。たくさん資料作ってしまったり。会話の時は気をつけているつもりだが。


言いたいことが多くなるとあれやこれや伝えたくなるし、逆に言わないと相手にはわかってくれない、というような感覚もあるが、著者によるとそれは間違いだという。話が長ければ論点がずれてくるし、相手も全部は覚えられない。しかも聞き手のニーズとピッタリあえばいいが、そうでない場合長くなればなるほどズレが多くなる。出来るだけ短く話をまとめ、間を挟んで相手が理解する時間を設けたり、相手と対話することで議論などを発展させていくほうが有意義だといっている。もし短く話をして、相手が興味を持ったがしっかり理解できなかった場合は質問してくるから、それに答えればそんなに方向性がずれない、という。

議論でも対話でも「たたき台」の発想が必要との事。短くても、不完全でもいいからその場でアウトプットを出す。たとえそれを否定されても、それによって議論が進みよい結論が出たらよいだろう、という考え方。
自分の意見が否定されると確かに気分はあまりよくないが、でも誰かが不完全ながらもきっかけを出していかないと無駄に時間が経過するだけでよい結果は生まれない、というのは実感としてよく感じる。人の意見を否定することに情熱を燃やしているような人もたくさん見受けられるが(少なくとも本人はそう思ってないだろう。自分にはそう見えてしまうだけの話ではあるのだが。)、そういうことをやっているとたたき台すら出なくなってしまう。それは避けるべきだろう。


また人の意見を否定する時は、あくまで「意見を否定」する、ということをはっきりさせないといけない、という考えには納得。以前読んだ別の本でも書いてあったが、やっぱり相手も自尊心があるわけで、それを否定することで生まれるものは憎悪とか反発くらいしかない。「だからあいつはダメなんだ。」って言うのではなく、「君の考え・意見が今回は違うぞ。」とあくまで意見に非を唱えることだろう。意見というのはその人が育ってきた環境などバックグラウンドに影響されて、必ずしも本人だけが悪いわけではないからだ。先日の演劇の講演のコンテクストの違い、ということを認識させればよい議論が出来る。


いずれにしろ、話を短くして細かく出していく、不完全でも出していく、良い議論・対話をしていく、という観点から見るとぜひ読んでおいて損はない本だと思う。自分の話し方なども振り返るきっかけになるし。

評価 7.5 (サッカー風で言う10点満点評価 平均点6点)

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