「政治と経済と労働組合」 講師 森田実


うちの会社の労働組合が主催したセミナー。昨今の政治と経済の潮流と問題点、それと政治のかかわりを述べた内容。


熱烈な民主党支持者であり、労働組合中心の考え方をされている人。今まで労働組合連合は民主党支持で、それがプラスにもマイナスにも報道されていたが、どういうことかいまいちピンと来ていなかった。でもあれだけ民主党支持の方の講演を聞くのは初めてだったので、そういうことね、と思った。


昨今の小泉政権の経済政治政策を批判していた。失業者が増大している。統計では4%台だとしても、この失業者の定義はハローワークなど就職活動をしているところに登録しないと失業者としては認められない(なので、ニートは失業者ではない。)数値みたいなので、実質はその倍近くになるのではないか、という。(欧米が比較的高い失業率であるのは、ニートとかも失業者の類に入るからだとか。)
それで政府の義務として、”高度経済成長期と同じように”国民皆雇用制度をしなければいけない、という主張だった。完全雇用の環境を整えるのは政府の義務である、と。

でもその財源はどこから出てくるのだろう?高度経済成長時代は非自発的失業者(いわゆるリストラされた人)はほぼ0だったから、その基準を守るべき行動をするべきだ、という内容であったが、それは高度経済成長期だから出来た事。ほぼ間違いなく右肩上がりの成長が出来るから、人材にも早めに投資したり、その時は過剰になっても将来仕事が増える見込みが高かったから出来た。
でも現在の成熟経済時代にはそのような高成長は望めない。人員を確保しても仕事が増えない状況であれば雇用は増えるわけではない。でもそこを政府が保証しようというのも政府に頼りすぎの発想ではないだろうか?

一人ひとりが努力をして勝ち残っていかなければいけない時代になってしまったと思う。現在では現在身分制度とか、努力してもどうしようも出来ない、ということは少なくなってきた。努力をすればある程度の道は開けるはずで、そういうことをしないで政府が支援しなければいけない、という考えは甘やかしすぎだろう。
政府が支援しなければいけないのは、努力をしてもどうしようも出来ない状態(福祉なんかはそれに近いよね。健康を害している人とか。)の支援をするのであれば賛成。


財務省を批判していた。緊縮財政であったり、増税をするのは経済を壊す、と。でも現状の財政状況は政府が過度に経済社会に影響を及ぼしたから発生した状況なのではないだろうか?もちろん増税には反対だが、値上げするためにはそれなりのビジョンとサービスがなければいけない。森田氏もおっしゃっていたのは、財政を良くするためには経済成長しかなく、4%くらいの成長をし続けることが必要という事。恒常的に4%も成長して続けていくのは疑問。


そんな政府においても政治化においても支持者においてもいろんな意見があるのは事実。そして政治に関わる人が日本を動かす権力がある。そこで森田氏が言っていたことで賛同したのは選挙権を大事にしなさい、ということ。73歳にもなられて1回も棄権したことがない、というのは素晴らしいの一言。それは選挙権のない戦前を知っていて、政府の暴走を体験してきたから、選挙権というのは非常に重要で価値のあるものだということを身をもって理解しているから、とおっしゃっていた。
確かに現在それほど価値を感じないのは事実だが、世界を見ても選挙権のない国はいっぱいある。もっと選挙権の価値を各々見直して、きちんと行使することが大事だと感じた。