「リッツカールトンが大切にするサービスを超える瞬間」 著者 高野 登


リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間


ホテルリッツカールトン日本支社長の高野さんが、リッツカールトンがどのような精神・やり方でお客様に感動を感じてもらっているか、ホスピタリティや従業員に対する考え方などをリッツカールトンを事例にして書かれた内容。


リッツカールトン、まだ宿泊したことはないのだが、噂には聞いているし、ホスピタリティという事が注目を浴びている中、ますます注目度が上がっているような気がする。


でも本書を読むと、まずリッツカールトンに宿泊ないし利用をしてみたい、とすごく思う。本の中の事例でも、そこまでやるのか〜っていうのがたくさん書かれていた。それはかなり大げさで極端な例だ、ということもあるだろうが、それにしても発想がすごい。新婚旅行にいけなかった夫婦のために、新婚旅行の止まり先のホテルの雰囲気を感じられるように急遽部屋の内装を変えたり、プロポーズのシーンでも頼まれた以上の気の利かせ方で感動を生み出したり。


また何より思ったのは、本当に従業員を大切にしているんだろうな、ということ。従業員がやりがいを感じていて、それをきちんと評価される仕組みであるからこそ、従業員の素晴らしい知恵と発想でお客さんに満足をもたらしている。
よく顧客第一主義とか、顧客の満足を最優先に考えろ、ということが言われているが、顧客が一時的に満足をしても従業員が不満を感じている場合は決して長続きしないように思える。楽しんでやるからこそお客様によりよいサービスをしよう、こんなことをしてあげよう、という意欲がわいてくるのだと思う。


あとは従業員の裁量の範囲の大きさと、部門の壁があまりないこと。1人20万円まではお客様のためならば自由に使える、ということ。そんなことをして大丈夫なのだろうか・・・という心配もあるが・・・。本を読んでいるとそこかしこに予想外のサービスをした、ということが書かれているが、そんなにサービス外の使い方をしちゃって、財務的に平気なのか、とも思うが、まあお客さんはそれを見越して高額の料金を払っているんだろう。
あとは部門や役割を超えて助け合う精神、そしてそれがきちんと評価される精神があるのは素晴らしい。会社を1つとして見ることで、余計な調整をせずにお客様にサービスを提供できる。これは素晴らしいと思う。


全体的にお客様大事だよ、というのもそうだが、従業員を大切に、そして力を発揮するような仕組みや文化を創っていくことが大事、だということを語られていたと思う。多分従業員の多くの人が(もちろん全員ではないだろうが)自分の仕事に誇りを持っているんだろうな。
でも、こんな本を出してしまったらますますリッツカールトンの期待値があがってしまうと思う。それって結構大変なことのような気がするが・・・。

評価7.0 (サッカー風で言う10点満点 平均点6点)