「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」 著者 ジョン・バッテル


ザ・サーチ グーグルが世界を変えた 日経BP


現在ITの世界では欠かせない検索活動。それをGoogleを中心として、Google以前→Googleの台頭→現在→検索における未来、という流れで現状の考察と予想を記載した本。


刺激的!これにつきる。Amazonのレビューでも満点評価にあるように、評価が高い。現在何気なく利用している検索なのだが、検索の仕組みと各社の検索における狙い、検索の重要性というものを改めて考えさせられる。


そして検索の世界最大手になったGoogleを取り上げている。Googleもこれほどまでに巨大かつ認知度が高まっているが、まだ起業して10年もたっていない。創業者2人の出会いから現在の巨大企業になるまでの成長物語を読んで、改めてすごい企業だと思った。毎年の成長率が40万%だったとかって書いてあった(笑)。ありえない。


ただ同時に怖さもある。サーチエンジンはWebに掲載されている膨大な量の情報を結びつけるためのインターフェースだが、インターフェースによっていくらでも恣意的な結果を導くことが出来る。本著でも問題提起していたが、中国では反政府サイトなどは当局の影響力からか検索結果に出てこないという。そして中国の政治的圧力でGoogleは検索のアルゴリズムを変更して情報の統制の一役を担った、とも噂されているという。もちろんGoogleは否定しているし、真相は謎だが、Googleがそういったサイトをヒットさせないアルゴリズムを組んでいるのは確かだろう。それはもちろんYahooやExciteなどにもあてはまるのだろうが。


ジョン・バッテルが本を執筆するために取材をし、その結果予想していることだが、検索はまだフルキャパシティの5%くらいしか使えていないという。

家電などのデジタル化、モノへのRFIDなどのタグによるネットワーク化などによって、現在のWebに留まらないありとあらゆるものを検索できるようになるという。また検索したものは人の意思を汲み取って適切な問題回答を得られるような結果になるという。

なんか夢物語のようにも聞こえるが、現実に既にAmazonがそれに近い仕組みを作っている。AmazonのMyページにお勧めの著書なりCDなりがあるはずだが、自分の興味のあるものはたくさん出てくるはず。それもAmazonを検索し、その人の意思とまではいかないが、嗜好などが分析され、画一的ではなく個人にとって最適な結果を示すような仕組みを考えている。これはすごいことだ。


文明という観点から捉えても、全ての情報が保存されて検索できるようになると将来の歴史学者はさぞタイムマシーンに乗ったように性格に物事を理解できるようになるのではないか!?


ともかく、あまり上手く表現できないが、この本を読んで非常にわくわくした。現在のインターネットのすごさはまだまだ序の口って感じがするし、どんな世界になるのだろうか!?


ただ読んでいて技術的な話や難しい用語が連発されており、IT企業にいながら技術がさっぱりの自分にとっては読むのにはちょっと苦労したのだが・・・・。

評価 7.5 (サッカー風で言う10点満点評価。平均点は6点)