「9・11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言」 著者:ジム・ドワイヤー ケヴィン・フリン

9・11生死を分けた102分  崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言

2001年9月11日、アメリカニューヨークのワールドトレードセンターに飛行機が突っ込んだ同時多発テロについての本。攻撃を受けてからタワーが崩れ落ちるまでにビル内にいた人の生の証言をまとめた、非常に重い本。

アメリ同時多発テロが起きたときは日本の軽井沢でニュースを見ていたのだが、いまだにあの飛行機がビルに突っ込んだシーンはまざまざと思い出される、ショッキングな出来事だった。会社の先輩にもまさに現場にいてワールドトレードセンターから脱出した経験を持った人もいるのだが、今回の著書を読んで、外部からはうかがい知れない、本当に切羽詰った現場の情報が伝わってきた。

最近もビルの耐震偽造工事が世間をにぎわしているが、ワールドトレードセンターの耐震や耐火構造は実証実験すらしていなく、安心だという風潮が一人歩きした、まさにタイタニック号状態であったとのこと。また救出に動く消防士や警察の間で基本的な情報共有が出来ていなく、ビルが崩壊してしまうときには多数の消防士が犠牲になってしまったことなど、本当に痛ましい。

1993年のワールドトレードセンター爆破テロの時も避難経路などでいろいろ問題が起こったらしいが、2001年では1993年の教訓をあまり生かされていなかった、ということで、しっかり検証しなければまた同じような問題がおきかねない、と忠告されている。

日本を始め高層タワーはたくさんある。避難経路の確保や非難訓練の真剣な取り組み、そして現場に対していかに適切に情報を伝達することが大事か、ということを改めて考えさせられる本であった。

歴史的な事件をしっかり検証する本書はぜひとも読んで欲しい1冊だと思う。

評価:8.5(サッカー風でいう10点満点。平均点は6点)