「ミュンヘン」 監督 スティーブン・スピルバーグ


ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]


1972年、ドイツミュンヘンオリンピックにおいてイスラエル選手がテロによって殺害された事件。この史実を元にし、イスラエルの特殊部隊がテロの復習のため、テロの首謀者達を次々と暗殺していく。しかしそれにより主人公達も暗殺の標的になり、仲間もやられていく。そして疑心暗鬼に陥るなど、報復が報復を呼ぶ虚しさや心理的な辛さを表現している作品。


映画としてはそれほど面白いものでもなかった。なんか淡々と事件を表現しているシーンが多く、どれもあまり印象には残らない。主人公達もそれほど魅力的なキャラには映らなかった。逆にそれがフィクションではない現実世界を表現した、という感じがして良かった、という面もあるが。


いまいち映画を理解出来なかった部分は、主人公は何にあんなに悩まされて葛藤していたのか、ということが結局良くわからなかった。報復が報復を呼ぶ虚しさ、と言うだけではなかったと思う。オリンピックのテロの時に最後空港に主人公が映ったが、それが何を意味しているのか、がいまいちわからなかった・・・。ちゃんと見ろ!って怒られそうだが・・・。


この作品は対テロ戦争の難しさをスゴイ表していると思う。テロの報復と防止のためにテロ首謀者を排除しよう、と言う論理は古今東西ずっと続いているし、最近でもアメリカ中心に行われているが、主人公が言っていたように、たとえ首謀者を倒しても必ず組織であるからには後継者が出現し、その後継者が報復の行為に出る。そうするとまた報復しなければいけなくなり、首謀者を倒してもまた後継者が出てくる・・・、とまさに永遠に続くかと思われる連環にはまってしまう。もちろん首謀者や責任者になったら暗殺される可能性が高まればそれが抑止力となる可能性もないわけではないが、実際はなかなかそうは上手く行かない。

暗殺をすることでその連環にはまり込んでしまった主人公達の苦悩が伝わってくる。しかも自分達も狙われるようになってしまうと常に疑心暗鬼に陥ってしまう。そんな精神状態は辛すぎる。
各国にも実際特殊部隊がいるだろうし、そういう人達がいるからこそ安定を保てている要素はあるかもしれないが、よくそんなハイリスクな仕事を選べるものだ。彼らを駆り立てているモチベーションは一体なんなんだろう・・・?ハイリスクに見合ったハイリターンがあるようには思えないのだが・・・。そもそもそういう考えではないのかもしれないけど。

評価5.5(サッカー風で言う10点満点 平均点6点)