「資産運用力を磨こう」 講師 澤上篤人


<夕学五十講>
https://www.sekigaku.net/


さわかみ投信代表取締役である澤上社長による講演。右肩上がりの成長経済から欧米のような成熟経済に移行している日本において、個人も資産に対してどのような考えを持って行動しなければいけないのか、を様々な経済指標から読み解いていく内容。


とにかく、面白かった。今までの夕学の中で一番面白かったかもしれない。とにかく澤上さんの熱い講演がググッと聴衆の心をつかんでいたように思う。普通質疑応答の時間になったら結構帰る人がいるが、今回はほとんどの人が帰らず、また時間終了後も続いていたが帰る人がほとんどいなかった。言葉使いが関西弁でもない、なんか独特で普段の話し方とあまりかわらないが、話す姿勢や内容が面白ければ受け入れられるのだな、と思った。講演手法として参考になる。


日本はこれから成熟経済の時代に入っていく(もしくはもう入っている)状態であるがゆえに、個人が自分自身の資産を責任持って増やすための行動をすることが求められている。今までのように働いていれば給料が右肩上がりになっていく、という世界は望めなくなってくる。平均給与も下がっていくだろう、というのが澤上さんの予想。


今までは資産を築く行動として預貯金が基本とされていた。経済が右肩上がりであれば、貸出金利も預貯金の金利も上がっていたしいくことが期待されているが、成熟経済時代になるとそんなに高成長は望めない。預貯金の金利より製品の支出のほうが高くなる。預貯金の仕組みとして収入より支出が多くなるのが恒常的になる。しかも預貯金はあまり流動性がない。今日本でも680兆円が預貯金としてあるが、それらがどのように生かされているのか、もっとうまく使えばポテンシャルが上がるのではないか、という考えを持っていた。


また貯蓄大国日本、と思われていたが、日本の貯蓄率が2.8%しかない(1970年は23%!)というのには驚きだった。

・貯蓄率=収入ー税金ー生活費

実際これは下がり続けていて、しかも既に貯蓄率0%が全収入世帯の23%にもなるのだという。生活費さえままならなくなると予想される時代。本でも年収300万時代の生活の仕方、みたいなのが少し前に結構売れていたが、いよいよ本格的になってきたか。


そのためにも自分のお金は自分で増やす努力が必要。もちろん給与収入がその中心になるだろうが、きちんと運用すると共に、Bクワドランドのように、自分として稼げる能力を身につけていかなければいけない。平成進化論の鮒谷さんもそのようにおっしゃっていた。そういう能力が身についているからこそ、倒産や失業の恐怖・低年収時代の恐怖がなくなっていく、という。

城取さんの夕学楽屋ブログにも書いてあったが、これから自助努力をする個人・企業が勝ちあがっていき、そうでない個人・企業はゆるやかな衰退をしていく、という。厳しい世界になってきた。


資産運用も主に長期投資を考えているようだが、昨今の株式ブームや金儲け主義の投資ではなく、経済活動に貢献するための投資だ、という哲学を持っていた。長期投資の鉄則は相場の下がり場(底値)で大量に買い、上がり場では自分の好きなタイミングで持ち株の8割くらいを売る、そして現金を保有し、また下がった株を買う、というサイクルでやっていくのが王道という。
それがなぜ経済に貢献するのか?バブル崩壊の時や、最近のライブドアなど新興市場でもそうだが、株価が暴落するときは皆が売りたがっても買い手がいず商売にならない、そして株価が下がったら企業価値も市場の価値も下がってしまい不景気になってしまう。だからこそ相場の下がり目で買う長期投資家が必要で、長期投資家が下がり目で買うからこそ株価の、ひいては経済の下支えが出来るのだという。
仮に680兆円の1割でも国家予算の支出に匹敵する額、それが長期投資家の視点で経済の下支えの役になったら、どれだけ経済に貢献することが出来るか。


資産運用の必要性は金持ち父さんも読んで意識しているが(実際にまだそんなに行動に移せていない。反省・・・)、話を聞いていて思ったのは、長期投資の方法などはある程度資本力があるからこそ、という感じもする。長期投資をすると資産価値は上がり下がりの変動があるが、すぐには現金化出来ない。またどこが底値か、というタイミングもわからない。ある程度短期的に見て損を出してもやっていけるような資産の余力が必要だと思う。


ただ下がり目で買う、というのは非常に納得。また資産運用も真剣にやっていかなければいけない、というのも納得。本腰入れてやらねばこれから先不安だけが増殖していくだろう。動けるうちに、給料としても稼げるうちに自分なりの勝利の方程式を作っておかなければならないだろう。

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