「やっぱり変だよ日本の営業2006」 講師 宋文洲


<夕学五十講>
https://www.sekigaku.net/


少し前から話題であった、ソフトブレーン会長の宋氏による講演。営業に対する熱い思いと共に、営業だけでなく経営の視点・人事の視点まで広く話題にした内容。


初めて宋さんの講演を聞いたが、非常に面白かった。ユーモアたっぷりであり、聴衆を惹き付ける話法やトークなどが素晴らしく、しょっちゅう笑いもあり、で非常に面白く聴くことが出来た。


また営業の話も面白く、考えさせられるポイントがたくさんあった。直接の営業ではなくて営業支援の立場に現在いるが、それでも営業部にいるため、わかりやすく「なるほど!」と思える点もたくさんあった。


ソフトブレーン社とは以前一緒に仕事をしたこともあり、SFAソフトのeセールスマネージャーも顧客に提案したことあるが、その時から良いソフトだな、という印象は持っていた。営業も製造業の生産部門のように業務の工程とプロセスを明確にし、どこに強みがあり、どこがボトルネックとなっているか、それをきちんと把握することによって本当に「組織としての営業」の強みを出せる、という。実際製造業も業務の可視化を行い、標準化などをすることによって強さを発揮する。生産管理などが取り入れられていない製造業などないであろう。営業も活動状況を把握することによって何が強くて何が弱いのか、そして強みを発揮する体制を作ることが大事だという。


eセールスマネージャーもそれが出来るが、これの競合は大抵「人間の行動を数値化で把握してよいのか?行動管理に使われるだけでないか?」という主張をしてくると思う。(提案の時もそのような感触があった。)宋さんもこのソフトを行動管理として使うんなら止めたほうが良い、とはっきり言っている。あくまで営業パーソンの力を引き出す使い方をしなければいけない。

人間は全て出来るわけがないし、皆がスーパー営業パーソンになれるわけでもない。夕学司会の城取さんのブログにも書いてあったが、、「優秀な人材がいないからできないのではない。その人間に合わせて仕事をブレークダウンすればいいのだ」という考えてチームを作っていくと案外適材適所で上手く回る気もする。もちろん皆が優秀であるほうが望ましいが、働き蜂の法則のようにやっぱり2:6:2に分かれてしまう、といわれていることを考えると、適材適所で上手く人材を活用していくことが大切になってくるのだろう。


きちんと適材適所に仕事をブレークダウンするには計測が不可欠、という話もなるほど、と思った。計測するポイントを組織で明確にし、数値化することでいろいろなものが見えてくる。営業活動などで数値化できないものもたくさんある、というが、数値化できないものがどのくらいなのかを明確にすることによって、結局数値化できている、という話も感心した。今の宣伝広告活動もなかなか数値化しにくいが数値化を求められている。何がどれくらい数値化できないか、ということも明確にする発想も面白いかもしれない。


ただ気をつけなければいけないのは、「自分はこれは得意じゃないから、実績でなくてもしょうがない」というような考えになってしまわないようにしないといけない。なんだかんだ営業は数字を求められる。自分の得意範囲を明確にすることも大事だが、それに固執して他をおろそかにする、という風潮が出るとまずいだろう。

営業の得意分野を把握し、その後どんなフォロー体制を作って商談を引っ張ってくるか、のストーリーつくりは案件のオーナーである営業の仕事、とおっしゃっていた。ストーリーつくりが本当に大切になってくる、ということはよく言われるが、改めてそうだなと思った。


あと、小さいことだけど、もう1点腑に落ちないこと。残業する営業はたいしたことない、みたいなことをおっしゃっていたが、ソフトブレーン社と一緒に仕事をしていた時は概してソフトブレーン社の社員はめちゃめちゃ遅くまで長時間働いていた気がするのだが・・・。