「脳と創造性」 講師 茂木 健一郎


<夕学五十講座>
https://www.sekigaku.net/


創造性とはどういうものか、夢を見る、ということはどういうことか、学習するということはどういうことか、などを脳の研究の第一人者である茂木先生が脳の動きや分泌物質など科学的な視点からいろいろと解説をしてくれた講演会。


さて、今期も始まりました夕学五十講座。丸の内のお洒落なホールで開催されるが、話を聞きたい人が結構いて、上期だけでも恐らく5〜6回参加する予定。しかし茂木先生の講演は非常に盛況だった。今まで行った中で一番観衆が多かったんじゃないかな!?笑いもあり上手い例えもあり、人を惹きつける、という意味で研究者とは思えないような話の上手い人手、面白い講演でした。


今回の主題である創造性。創造性は大事だがそれはどのように生み出されるか、それはいかに過去の出来事をアーカイブ出来ているか、ということが大切であるらしい。創造性、というと何か新しいものを考え付かなければならなくて、その過程で過去の経験は邪魔をする、というようなイメージがあったが、過去の経験によって生み出されるものらしい。それはもうひとつ重要なファクターが必要ではあるが。それは意欲のようだ。

なので茂木先生はひとつの方程式を示してくれた。

創造性=過去の体験(側頭葉)×意欲(前頭葉

よく年をとると創造力がなくなる、というが、それは意欲の減退が著しいためであるとの事。経験は年をとればとるほど膨大な量になってくることから、年を召された意欲のある人はまさに最強なのだとか。


その他にも、「夢」というのは現実世界で体験したことの情報的・情動的整理であるらしい。ハッピーな夢を多く見る人は現実世界でも生き生きとしているし、暗い夢を見る人は何か現実世界に原因があるから、しっかり自己の内面を見つめて分析することが大切だという。もしそこが思い当たって改善したり、マインドの持ち方を変えたりするとぱったりと悪い夢を見なくなるとか。まあ最近夢自体をあまり見ないし、何か見ても全然覚えてないから自分はどうなのか良くわからんけど・・・。


人間の行動は不確実性がたっぷりあり、それが予想外の行動を生むことが多いが、その中で成功していくためには「感情」の要素を盛り込むことが大切だとか。「感情こそが人間のもっとも注力すべき能力」というのが学会では定説になっているみたい。最近は情報だけでなく情緒を重視したり、ホスピタリティが重視されてきたり、と、経済合理性だけではサービスが成り立たなくなってきた。人間が嬉しいことを体験したときに脳から分泌される「ドーパミン」によって人間は学習し、さらにそれに向けて行動する、ということ。これからは「ドーパミン」を分泌させるようなサービスなりを心がけていかなければいけないのかも。

普段仕事でしている展示会やセミナーも、ただ合理性だけでなく、喜びや楽しさ、というものももう少し追求してもよいのかな、と思った。