「ヒトラー 〜最期の12日間〜」 監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル


ヒトラー ~最期の12日間~ スペシャル・エディション [DVD] 


ヒトラーの最後に日にともに仕事をしていた秘書「T・ユンゲ」という女性への取材を通してヒトラーを描いた半分ドキュメンタリー映画ヒトラーも本物を見間違うくらいそっくりであり、ヒトラーの最後を戦勝国からの視点ではなく一番近くで見ていた人を通した人間味あふれる作りとなっている。


小説太平洋戦争に引き続いての第二次世界大戦物だが、やはりいかにこの戦争が悲劇の産物であったか、ということを改めて認識させられる。

ヒトラーをやっている人がまさに本物そっくりの雰囲気をかもし出しており、ナチスドイツの崩壊までの人々の精神状態をしっかり描いているため、戦争当時の重さがひしひしと伝わってくる。


しかし戦争状態になるとどうしてあんなに人々の精神状態は異常になるのだろうか?ほとんどの人が総統のため、祖国のために自死を選んでいる。もっとも大事であり、失うことに恐怖を感じているもののハズなのに自分で絶ってしまう。
よく命を懸ける、とかいう言葉も出てくるが本当に命を懸けているわけで、しかも多くの人がそのような状態になる、というのはヒトラーにしろ天皇にしろそれだけカリスマがあった、ということなのだろうか?それとも文化というか風土というのが命を失う恐怖を超えているのだろうか?もし万が一何か間違って第三次世界大戦など戦争になろうものなら再びあのような精神状態になってしまうのだろうか?


戦争は怖い。特に敗戦国は坂を転げ落ちるように悪い方向へ転がっていく。映画中でもヒトラーに忠誠を尽くす、といいながらも人々の狙っている終着点がことごとくずれていたことが崩壊を早めていた。
そして何よりも怖いのは皆確かな情報を持っていなかったこと。一般市民はともかく、最高指導者のヒトラーですら戦況を把握できていなかった。またそれにより一般市民はまだドイツが勝てると思い、様々な犠牲を強いられている。いかに情報が大切か、ということだろう。


映画の出来としては重すぎて再び見たいな、ということもないし、高揚感もなかった。また自分がドイツ軍のことを良く知らない、ということもあるが登場人物の関係図をうまく整理できなくて、この人なんでここに出てきたんだっけ?というのもあって残念。音楽もあんまり印象的なものはなかった。

ということで、ぜひ一度は見たら良いかと思う映画だが、評価としては平均点。

評価 6.0 (サッカー風で言う10点満点。平均点6点)